2023年8月18日金曜日

妻の夢

8月 18, 2023

 夕暮れの家路~

電車を降りて15分ほどだが、街じゃない
田舎道の田園風景に溶け込んだ
和風作りの安らげる家だ
ただいま~
あ~お帰んなさい
とっても暑かったでしょう
お風呂沸いてるよ
入って~
お風呂上がって夕御飯
妻の料理は、何か用事で忙しいとき以外は、和風であれ洋風であれ、良くやるな~と感心する程 調理行程に時間掛けて~
ほんと、料理にここまでやるか
美味しいがいっぱいの
出来すぎた奥さんです
妻も一緒に食事して~お風呂
食後のビールを一緒に飲みながら~
何かの話題で1時間ぐらい談笑してから床に付くのが日々のパターン
だが、今日の妻はなぜだろう
話題の内容が若い恋人時代から始まって、順繰り現代へ掘り起こして来るから1時間経ってもまだ途中~終わらない
各地を旅行した思い出
時には涙を目に浮かべ~
ほんと素敵な思い出いっぱい
楽しかったねぇ~
妻の笑顔は性格も良いからとっても素敵
この笑顔を毎日見たいから~
私は仕事も頑張れるんだ
話題が一年前の夏に移った
妻の姪っ子が結婚式を挙げた時の話題の途中だ
妻の表情から笑顔が消えた
下を向き身体が小刻みに震えてる
どうしたんだ
顔を上げる妻
なんだ~もう顔が泣きじゃくってるような
私の目をじっと見つめ
貴方を忘れたこと無いわ
楽しいかった頃の思い出は何一つ忘れていない
もう一度、逢いたい~
祈ってた
逢いに来てくれてありがとう
えっ~
いったい何を言うんだ
意味が分からない
貴方 こっちへ来て~となりの部屋へ
仏壇の前に正座して、手合わせ
次に私も正座するよう招いた
あ、仏壇に置かれた小さな遺影は~
私じゃないか
線香を上げ手を合わせ
ふりむく妻~
貴方は、姪っ子の結婚式直後
直ぐに体調崩して入院
亡くなったのよ
貴方が亡くなっても、生きてた時の思い出がいっぱい有るから、
それだけでも~
愛しているから
貴方の存在が無い現実に耐えられた
でも、もう一度貴方に逢いたい
いっぱい話したい
いつも思ってたわ
ほんとに逢いに来てくれた
嬉しかった
ありがとう
途中で気が付いた
これ夢なんだって~
目が覚めてしまえば、貴方は消えてしまう
でも、また逢えるかもしれないわ
そう思えば~まだまだ生きられる
また逢いたい
必ず逢いに来てね
あ~これは妻の夢の中
私は死んでたのか~
フィクションですので~
お休みなさい


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